「あなた!」
滞ることのない綺麗な声。
その声の主は。
「…、浅野先生…?」
「あなたっ!やっと起きた〜っ」
目が覚めると、保健室に居た。
側には、浅野先生の姿。
「あなた、学習室の前で倒れててさ!めっちゃ焦ったんだぞ〜」
「あ…、ごめんなさ、げほっ!」
「あなた体調悪いっ?」
「はい、少しだけ…」
「そっか、あんま無理するなよー」
「はい」
「今日の分は他のみんなでやったから、明日からはまたあなたもやろうな!」
「はい」
どうしよう。
先生の顔がまともに見れない。
浅野先生は私のことを、生徒として真っ直ぐに見てくれているのに。
私は浅野先生のことを、異性として見てしまっている。
最低だって、わかってる。
けど。
あなたがだんだん好きにさせるから___。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。