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昨日のハナとの会話を
既に中国に向かっている飛行機の中で
ぼんやりと思い出していた。
?「お~い」
ケイゴ「お~い!」
あなた「………」
ケイゴ「あなたちゃん♡」
あなた「わっ!!何事!」
ケイゴ「あなた、せっかくこれから修学旅行なのに浮かない顔してるから、なんかあんのかと思ってさ」
彼の端整な顔立ちが
私の俯いている顔を
覗き込みながら話しかける
あなた「だって…なんかリゾート地行きたかったな~って!」
彼の瞳に吸い込まれないように
必死に目をそらす
ケイゴ「たしかにな~!でもさ、絶対楽しいって!特に現地の高校行くやつとか」
私の肩をぎゅっと掴みながら嬉しそうに言う
あなた「それは…そうだけど」
ケイゴ「な!あっちついたら、あなたにとびきりデカい肉まん買ってやるからさ、笑ってくんね?」
なんて言いながら
私の髪をくしゃくしゃしながら訴えかける
ケイゴ「お前が楽しくなさそうだと
俺、もっと楽しくない」
普段からは想像がつかないぐらいの
耳元で優しく聞こえる
低い声のトーン
あなた「__っ!ちょ、ちょっと!」
急いで顔を背けたけど
もう1度彼の顔を見る勇気なんて無くて
神様、
どうか隣の席の彼に
この胸の高鳴りが気付かれませんように__
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。