ダンスの練習後、汗を拭いていると後ろから加奈の声が聞こえてきた。
そう言って、俺の腕をバンバンと叩く加奈。
本当に変わってない。
昔から女っていうより、男って感じで。
昔はずっと男友達として見てたんだよなぁ。
本人には絶対言えないけど(笑)
さっきまでいたはずの菜奈の姿が見当たらない。
まぁ、そうだよな。
俺、あんなことしたんだし…
TOPにも謝らなきゃなーと思うけど、
目の前にしてみると、どうしても言えなくて。
結局俺は親友も、好きな人も失っちゃったのかな。
友達が心配して色々話聞いてくれたりして…
周りに迷惑かけちゃったけど.。
菜奈のことも、
少し前向きに考えられるようになった。
加奈は昔からソフトボールをやっていて、
中学では全国大会に出るほどのピッチャーだった。
ソフトボールをやっていたあの時の加奈が一番輝いてみえた。
冗談めかして俺がそう言うと、
殴る真似をしてくる加奈にやっぱり女としては見れない。と思った。
それからも、まるで昔に戻ったかのように、
笑いながら会話を交わした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!