第4話

小さな距離感
117
2017/11/10 01:54



"井染くん"


彼女がそう呼ぶ度に喉の奥に何かが引っ掛かる


今更こんな小さなことに後悔するときがくるなんて


あの時の俺に教えてやりたい


"今日から藍沢さんって呼ぶから"



たかが思春期の戯言だと。

数年後、後悔するから冗談だよって笑っとけって


あの時の俺に教えてやれたら、今とは違う未来が合ったのかもとか



馬鹿馬鹿しくも過去の自分に期待する



だってそうでもしなきゃ




「うっわ、びっくりしたぁ。井染くん!入ってくるなら声掛けなさいよ!!もう」



「藍沢さん、まだ残ってたんだ」



逃げてばかりの俺にはやってられないだろう




こんな無謀な片想い











プリ小説オーディオドラマ