第13話

寄り道(1)
91
2017/11/22 15:45





俺たちの通った小学校を五分ほど歩いた先にある小さな公園



「うっわ~、酷いわね」



草は地面を覆うほど生い茂って、遊具は錆びれて使い物にならない



遊ぶ子供なんているはずもなく



"いらない"場所にされても仕方がない



それなのに、



「予想はしてたけどもう寿命だね。帰る?」



「行こうって言ったのは井染くんよ!少しくらいなら大丈夫」




どこか懐かしさを思わせるのは


隣に君がいるからだろうか

足元を刺すようにむず痒い草の中を進んでいく彼女



「藍沢さん、転ぶよ」



「井染くん真面目すぎ!これくらい平気よ」



「そうじゃなくて、」



刹那、彼女の身体がガクンと傾く



「そこ、坂になってるって言おうとしたんだけど」




遅かった。



見事にズッコけた彼女の後を追って手を差し出す




「もっと早く言いなさいよ!馬鹿!」



「理不尽な。馬鹿はどっちだよ、ほら」



グイッと彼女の腕を引いて立ち上がらせると



勢いでバランスを崩して一度俺の方に傾いた



「おっと、危な」



咄嗟に抱き止めて一層至近距離にいる彼女と視線がぶつかる



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