プリ小説

第3話

館の夢
少し走ると、木の隙間から建物が見えてきた。

「ここだよ」

目の前に現れた古い洋館のような建物には、どこか寂しさを感じた。

「どうぞ?」

扉を開けて、彼が私を中へと促す。

「…お邪魔します」

中に入った途端、私は思わず声を漏らしてしまった。

「すごい…」

目の前には螺旋階段があり、床にはふかふかの赤い絨毯がひかれている。
扉は左右に二つずつ…ん?

彼が、私の手を引いている。

「どうしたの?」

「こっち。こっちの部屋だよ」

なるほど。
じっくり観察する暇を与えてくれない。
ぐいぐいと引っ張られ、左側の扉の中へと入っていく。

扉の先には廊下が続いていて、窓から月明かりが射し込んでいる。
そういえば…今は夜だったのか。
月が出ているから、外は昼間のように明るい。

「一番奥の部屋に入ってて」

そう言われ、素直に頷く。
言われた通り、一番奥の部屋へ向かった。
ドアノブに手をかけ、ゆっくりと開く。

「…え、すごい…」

部屋の中には長いソファが二つ、向かい合わせに置いてあり、その間にテーブルがある。
壁は全面が本棚になっていて、本が綺麗に並べられていた。
大きな窓から外を見ると、綺麗な花壇が見えた。

「…何かあった?」

いつの間にか部屋に入ってきた彼が、優しい笑顔を浮かべて聞いてきた。

「花壇が見えて…綺麗だね」

「…あぁ、花壇ね」

なぜか、すごく悲しそうな顔で返された。

シェア&お気に入りしよう!

この作品をお気に入りに追加して、更新通知を受け取ろう!

テロル
テロル
最近朝布団が自分を離してくれません。 そう言ったら友達に毎朝モーニングコールをされるようになりました。 彼氏の浮気を許さない彼女でしょうか…?
恋愛の作品もっと見る
公式作品もっと見る