プリ小説

第4話

花の夢
「花って、綺麗だよね」

テーブルの上に持っていたトレーを置きながら、彼は言った。

「…そうだね」

彼の方は見ずに、私は返した。

「あなたは、花は好き?」

「好きだよ」

私の言葉に、彼は悲しげに笑う。

「…いつかは枯れてしまうのに?」

「だからこそ、咲いてる間綺麗だなって見てられるんでしょ」

そう返すと、彼はすごく驚いたような顔をした後、今度は優しい笑顔を浮かべた。

「どうぞ、座って?」

彼が座った向かいのソファを指差さされ、私は窓から離れ、言われた通りにソファに座った。
夢の中とは思えないぐらい、ソファはふかふかだった。

「これもよければ」

そう言って、飴色の紅茶が入ったカップが目の前に置かれた。

「…いただきます」

カップに口をつけて、紅茶を一口飲んでみる。

「…美味しい」

夢の中とは思えない美味しさ。
思わず頬が緩んでしまう。

「………」

「…何?」

「いや、嬉しくて」

嬉しい?

「なんで?」

思わず聞き返すと、彼は優しく微笑む。

「誰かと向かい合ってお茶を飲むのなんて、久しぶりだから」

その言葉に、私はなぜか胸が痛んだ。

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テロル
テロル
最近朝布団が自分を離してくれません。 そう言ったら友達に毎朝モーニングコールをされるようになりました。 彼氏の浮気を許さない彼女でしょうか…?
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