第9話

夢の夢
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2017/11/21 02:14
どれぐらい、マシロのことを抱きしめていただろう。
温かい体温と、微かに震える背中に回された腕に、私は何とも言えない気持ちになった。

「…マシロ」

「ん?」

私の腕の中で、マシロが返事をする。

「私の目が覚めたら…マシロは、消えちゃうのかな」

「………」

夢の中で、誰かにこんなことを聞いたのは初めてだった。
ただ、マシロには、どうしても消えてほしくなかった。

「…俺は消えないよ」

そう言うと、マシロは私の頭を優しく撫でた。

「……うん…うんっ…」

涙が溢れた。
目から溢れた涙が頬を伝い、マシロの髪を濡らしていく。

「…あなた?泣いてるの?」

「………」

心配そうに問いかけてくるマシロの優しさに、私は胸が締め付けられた。
その日に見た夢は、二度と見れない。
たとえ、どんなに楽しかったとしても。

たとえ…夢の中に永遠にいたいと願ったとしても。

だとしたら、私は「今」、マシロにこの気持ちを伝えなくてはならない。

「マシロ…私ね。マシロのことが…」

–––––好き。


次の言葉を言った時には、私の目の前にマシロはいなかった。

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