プリ小説

第10話

その夢
「…あら、目が覚めた?」

見知った顔の白衣を着た女の人が、にっこりと笑いかけてきた。

「…私……」

「起こしちゃったかしら…え、泣いてる!?」

白衣を着た看護師さん…遠藤さんが、私を見て驚いたように聞いてきた。
上体を起こしながら、私は笑ってみた。

「え、いや…あはは…」

「どうしたの〜…怖い夢でも見た?」

ここに入院してからすっかり仲良くなった遠藤さんは、私の背中をさすってくれた。
その手の温もりに、また涙が溢れる。

「あなたさん?も〜…」

私よりも年上の遠藤さんといると、なんだか落ち着く。
少ししてから、私はぽつりと呟いた。

「…夢を、見たんです」

「それは、良い夢?」

そう聞いてきた遠藤さんに、私は小さく頷き返した。

「とても…懐かしい感じがしたんです」

私がそう言うと、遠藤さんがへぇ〜と納得したように頷いた。

「そういえば、同じようなこと言ってた人いたな〜」

「え?」

「懐かしい夢を見た。会いたい人が出てきたんだ、って」

その言葉に、鼓動が早くなる。

「そ、れは…」

聞き返そうとした、その時。

「遠藤さーん」

病室の外から、遠藤さんを呼ぶ声が聞こえた。

「あ、ごめん。行かなきゃ」

「はい…お疲れ様です」

慌ただしく病室を出て行った遠藤さんを見送ると、私はため息を吐いた。

「……マシロ、か…」

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テロル
テロル
最近朝布団が自分を離してくれません。 そう言ったら友達に毎朝モーニングコールをされるようになりました。 彼氏の浮気を許さない彼女でしょうか…?
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