第11話

同じ夢
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2017/11/25 10:09
「おやぁ…?」

入口の方から声がして、視線だけをそちらに向けた。

「ましろ…と、言ったのかい?」

そこには、白髪の優しそうな雰囲気のおじいさんが、杖を片手に立っていた。

「え…は、はい」

突然のことに戸惑いながらも、私は答えた。
そうしたら、おじいさんは嬉しそうに何度も頷いた。

「そぉかそぉか…ましろ君を、知ってるのか」

「え?」

おじいさんの言葉に、私は耳を疑った。

「おじいさん…マシロ、君…を、知ってるの?」

私の問いかけに、またおじいさんは何度も頷いた。
にこにことしながら、話し出すおじいさん。

「ましろ君はなぁ…毎日、毎日来てくれるんじゃよ」

「毎日?マシロが、おじいさんに会いに来るの?」

身を乗り出して聞く私に、おじいさんは不思議そうに言った。

「お嬢ちゃん…夢を見ていたのかね?」

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