第3話

10年後②
90
2017/11/10 02:40
さなは再びため息をついた。わざとかと思うほど大きく息を吸いこみ、空気の塊をゆっくりと吐き出した。本気で私のことを気にかけてくれているのがひしひしと伝わってくる。
やっぱり、そろそろ病院行かないとな…
お母さんにも話さなきゃ…
あなた

分かった。ちゃんとお母さんに話して病院行ってみる

あなた

だからそんなにため息ばかりつかないで?

語尾が不自然出ないことをしっかり確認し一瞬表情を和らげたものの、そのあとさなは
さな
バカ
そう短く言って、私の横腹を小突く。
私からすればなにがバカで、なんで小突かれたのか、全く分からない。
あなた

えっなに?なんで?

さな
私が一番心配してるのは"あの親父"のこと
あなた

……なるほど。

"あの親父"というのは、私の戸籍上父親にあたる人物の事だ。ただし血縁関係では彼は父親では無い。本当の父親は私が小さい頃に天国へ旅立った。その後しばらくしてあの男が我が家に父親としてやってきた。

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