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第1話

11,464
2017/11/11 13:06
殺すために、女を捕まえた。

夜の山道を歩いているところを襲い、倉庫に連れてきた。

人里離れたこの倉庫は、密閉空間であるから悲鳴さえ外へ漏らさない。かりに漏れたとしても、それを聴く人間などちかくにはいないのだ。

とりあえず誰でもよかった。

ただ殺したかったのだ。




『極上の味』




ぼくは、どこにでもいるような平凡な人間だ。

今年22になるというのに、職もないし、家もない。

残された借金は、数百万。

夢と希望はすへて失った。

こんな自分は生きていても仕方がない。

もう死んだほうがマシだ。

けど、このむしゃくしゃした感情をなくして死にたい。



ーーそうだ、だれかを殺そう。それから、自分も死のう。


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