第3話

優しさ
13
2017/11/10 15:46
「そうですね。」


「否定しないんだ。」


「すぐバレる嘘をついても意味ないので。」


「確かに、二十歳には無理あるしね。

一人かと思ってちょっと心配だったけど、サクラさんの連れなら大丈夫そーだね。」


そう言って笑う彼は席を移動することもなく、話し掛けてくる。


10分ほどたった頃、迅ちゃんがドレス姿で駆け寄ってきた。

「奈乃!何もされてない?」


「いやいや。話し相手になってただけなんだけど。」


「そうやって、女口説いてんでしょ?言っとくけど奈乃に手だしたらアンタの大事なとこ潰すわよ?」


「…………まじで洒落になんないからやめてよ。ていうか、その子ってサクラさんの何?親戚?」


「この子は私の可愛い姪っ子よ。」


迅ちゃんはお母さんの弟、私の叔父にあたる。


「そうなんだ。でもこんなとこ出入りしてたら心配されるんじゃない?」



「………色々あるの。家庭の事情ってやつよ。それより、アンタ暇よね?」


「決めつけないでほしいな。暇だけど。」


「じゃあ、ちょっと頼みたいんだけど奈乃がここにいるとき出来れば、今日みたいに話し相手になってくれない?」


「いいけど。さっき手だしたらとか、凄い言ってたのに俺に頼むんだ。」


「それはまた別の話し。知ってる人が近くにいた方が安心じゃない。

変なのに絡まれそうになってもすぐ助けられるし。」


「サクラちゃん。私、平気。自分の事だし自分で対処する。」


さすがに、赤の他人にまで迷惑は掛けられない。

「話し相手になるくらいなら俺は構わないし、迷惑とか思ってるなら気にしないで。」


「なんなら、私がずっと側にいたいくらいなのよ!」

ギューっと抱き締められる。

迅ちゃんは私を想って言ってくれてる。



優しくて、優しくて、


私には勿体ない。




「……………ありがとう。」

プリ小説オーディオドラマ