第2話

▽2
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2017/11/11 12:15







私の住んでいるアパートから数分歩いたところに 彼、佐々木 慎(ササキ マコト)の家はある。


「いらっしゃい」

「…お邪魔します」


佐々木くんは、至って仲の良い ただの大学の後輩だった。



この時までは。






「…先輩、ホントにいいの?」


恋人とは違う声。

恋人とは違う顔。

恋人とは違う匂い。


何もかも 違っているから、彼に頼んだんだ。


「うん。…いいの」


ベッドにそっと寝かせられながら、私は小さな声でそう答えた。


「嫌になったら…言って」


首を縦に振って、彼の首に腕を回せばもう。

世界は二人だけのものになる。


「…あなた」


唇を重ねたら、もう戻れない。

そう知りながらも、私は 近づいてくる男の顔に ゆっくりと瞳を閉じた。









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