走る車から外を眺めた。
こわい…どこに行くんだろう…
行き道はこんな所通らなかったのに…。
静かな夜の道を走り続けた。
そして…
キッ
止まったところは…公園みたいなところ。
周りに車、一台さえも見当たらない。
ガチャ。バンッ。
いきなり2人が車から降りた。
私も降りなきゃいけないのかな?と思い、ドアに手をかけた。その途端…
ガチャッ。ぱたんっ。
バンッ
言葉と同時に鈍い痛みと音がした。
腕を押さえつけて、私の上に跨っている忠義は、流石というほどに力が強く、抵抗しようとも全くできない状態だった。
忠義の唇によって言葉をさえぎられた。
すぅっと唇が離れていった。と思うとすぐにまた口を塞がれる。
長くてとろけそうなキス。
そして、大きくて細い指が服の下に侵入してくる。
むき出しになった胸を優しく包み込む忠義の大きな手。
こんなこと…許されないよ…
錦戸くんが下をつつー…と静かになぞった。
なんで…私はこんなにすばるくんのことを考えてるんだろう…
なんで…こんなにすばるくんが恋しいんだろう…
なんで…こんなにすばるくんに助けて欲しいんだろう…
__答えはただ一つ。
私…すばるくんのことが好きなんだ…
バンッ‼︎‼︎
ドアが勢いよく開いた。
私は服を整えながら隆くんの後ろについていった。
さっきのすばるくん。と呼んだ声は聞こえていなかったみたい。よかった…。
隆くんの車の助手席に乗った。
きっ聞こえてたんだっ…
申し訳なさで涙が溢れてくる。
隆くんの優しさが大好きだった。
本当にありがとう。隆くん。
隆くんは家まで送ってくれた。
そして___隆くんとは…別れたのだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。