エーシュカが自由自在に猫から人間、人間から猫というふうに姿が変われるようになったのは、たくさんの猫たちが住んでいる「猫の国」で習った魔法。
その力を人間の世界で使うのは禁止とされているらしく、あえてエーシュカはその約束を破ったみたい。
猫の国はどんな感じなの?とか、キャットフードはおいしいの?とかいろんな質問には答えてくれたんだけど、唯一、その「約束を破った理由」は教えてくれなかった。
私はそう言いながらうーんと伸びをする。
気がつけばもうカーテンからは太陽の光がもれていて、時計を見ればもう朝の7時前。ずっとエーシュカの話を聞いていたから、あっという間に朝になっていた。
一階から聞こえてきたお母さんの声。
私は思わずエーシュカの方を振り返る。
な、なんで私の心の声が読めたんだろう。と不思議がっているうちにエーシュカは猫の姿に戻ってしまった。
なんだか、人間の姿に見慣れてしまって、次は猫の姿になっているほうが、違和感を感じてしまう。
本来の、エーシュカの姿はこっちなんだけどね…
そしていつも通り、エーシュカを抱きかかえて、階段を降りる。朝ごはんは一緒に食べるのだ。
しかし、さっきまで隣にいたあの金髪男がこんな愛くるしい猫だなんて考えられないよほんと。
エーシュカは私の腕の中で、気持ちよさそうにしていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。