…………うーん、今どうこう考えても分からないし、なぁ…
今は、ミーシャちゃんを考えることにした。
ミーシャちゃん、可愛いんだろうなぁ…
私は、頭の中でミーシャちゃんを思い描き、少し頬が緩む。
そんな中、永瀬くんは突然「あ、やばい」と言って立ち上がった。
まずいまずい、もしかしたら長い間引き止めてしまったかもしれない。
さすが永瀬くん。なかなか面白いことを考えるなぁ。
ミーシャちゃんとエーシュカ、会わせたらどうなるんだろう。恋でも生まれたりしたら楽しいなぁ、なんて考えながら永瀬くんと別れて、私も家に帰ることにした。
…エーシュカに、会いたいなぁ。
これがただの寂しさではなく " 恋 " だと気がつくのはもう少し先になる。
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人間の世界に降り立ってからは、初めてこの世界に戻ってくることになる。
「あっ、あなたは……!」
国の入り口で、俺の顔を見るなり、慌てる門番。俺が少し睨むと " 失礼しましたどうかお許しくださいっ! " とペコペコ謝る。
疲れるな、この国は。
でもなにも変わっていない国の風景に、少し安心しながらも俺はあるところへと向かう。
そのあるところ、とは俺が生まれたところ、だ。
城の入り口に辿りつくと、城の門番が、「名前は?」と尋ねる。
「……エーシュカだ」
その瞬間、険しい表情を浮かべていた門番がすぐに俺の前で敬礼をした。
「どうぞ、中へお入りください。…王子!」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。