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第28話

上品な言葉は言えない
エーシュカが置き手紙を残してから数日後、朝起きるとやっぱり何事もなかったように眠りについているエーシュカの姿があった。

私が今見ているのは、猫の姿をしたエーシュカのはずなのに、頭の中では、人間の姿をしたエーシュカを思い描いてしまう。



早く、起きてくれないかなぁ…



聞きたいことはたくさんある。
猫の国で何をしていたの?いつミーシャちゃんと知り合いになったの?私もまだミーシャちゃんに会っていないのに。

……ううん。でも、それより、私は言いたいことがある。伝えたい言葉がある。


私はベットから降りて、眠っているエーシュカの元へ寄る。……そういえば、猫の国へ行っている間、ご飯は食べたのだろうか。
道端に生えている雑草なんか食べていないだろうか…
ああでも、ミーシャちゃんが一緒なら、何となく大丈夫かもしれない。…分からないけど。


私がエーシュカの寝顔を眺めながらあーだこーだ考えていると、エーシュカがぱちっと青い瞳を覗かせた。
あ……起こしてしまったのかな。

って、目を開けた瞬間、すごそこに私の顔があるなんて、何だか私が寝込みを襲っているみたいである。
あなた

ち、ち、違うから!ほんとに違うから!

私は慌ててエーシュカから離れる。今の私、なんだか嘘っぽくなっていないだろうか……勘違いされたらどうしよう…エーシュカのことだ。何だか私を変に誤解しているかもしれない。
あなた

ね、ね、寝込みを襲うとか、なんかそういうのじゃないからっ!

私は頭を左右にブンブンと振る。ああもう朝からやってしまった……
しかもエーシュカは帰ってきたばかりだから、本当はもっと気の利いた言葉を言いたかったのに!

" おかえり。お疲れ様 " とか、 " あなたが帰ってくるのを待っていたわ " とか……

上品な言葉で迎えたかったのに……!
も、もしかしたら下品な女だって思われているかもしれない……


すると、そんな私を見てまるで状況がつかめないエーシュカは、猫の姿のままだと言葉が発せないと思ったのか、人間の姿になってくれた。

寝起きのままで変身したから、人間のエーシュカも頭に寝癖がついている。金髪がくるん。しかもあのエーシュカに寝癖……


………可愛い!



パチパチと私を見つめるエーシュカ。
そして少し伸びをして、
エーシュカ
え?寝込みを襲うつもりだったの?
と、いかにもニヤついた表情を浮かべる。
あなた

だ、誰が猫を襲うのよ!

やっぱり真に受けてた……
エーシュカのニヤニヤは止まらない。
エーシュカ
じゃあ、猫じゃなかったら襲ってたの?
本当にバカらしい。誤解されるような体勢だった私も私だけど!
" 猫でも人間でも襲いません! " と私はキッパリ否定。
エーシュカ
………ふうん、そっか
あなた

う、うん…

さっきまで盛り上がっていた(?)空気が一気に風船のようにしぼんでしまった。
エーシュカはあぐらをかきなおし、こめかみをかく。

私もその場で体育座りである。
………なんとなーく、気まずい雰囲気。

これは私が空気の入れ替えをするべき?
そう思って、口を開こうとしたら、
エーシュカ
……勝手にいなくなってさ、ごめん
いきなり謝ってくるから、私は首を横に振ることしかできない。
エーシュカ
何から話していいか、分からないけど…
エーシュカ
…でもまずは…この前急に " 好き " とか言って、ごめん
えっと、なんで?なんで謝るの?

……確かに、ちょっと。ううん、かなりびっくりしたけど、不思議と嫌じゃなかった。飼い猫から好きだなんて言われるなんて、きっと普通だったら距離を置くのかもしれない。
でもきっと、私は、確信があったから。
だから素直にその言葉を受け止めていた自分がいたんだろう。
エーシュカ
あの時は、さ。切羽詰まってて…

早く気持ちを伝えないと、って多分焦ってたんだと…思う
慎重に言葉を選ぶようにして、言ってくるから、きっと何かあったんだろう、とこんな私でも察することができた。
エーシュカ
あと、なんか永瀬っていう男も出てくるし…あなたちゃんのこと取られるんじゃないかって…
………永瀬、くん?どうして彼の名前が出てくるんだろう。…あ、もしかしたらあの日。永瀬くんと私が二人で帰っていた時だ。

嫉妬、してくれていたのかな。別に自惚れているわけではない。でも、今のエーシュカの顔を見ると、冗談を言っているようには見えない。
エーシュカ
俺とは一緒に帰ってくれないのに、なんで?ってさ。すげー馬鹿なこと、考えてた
ああ、だからそのあと数日間、不機嫌だったのかな…
あなた

……それは嫉妬、してくれていたの?

エーシュカ
嫉妬以外の、何者でもないよ

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