第4話

#3 レモンとイチゴの甘酸っぱいサンド
78
2017/11/13 13:35
 「俺、好きな人いるから!」
「はあ!?」
本当にどうなるんだろう?

「じゃあ、ばいばーい!伽耶!こたろー!」
「じゃあなー!」
「さようなら。」
こうして、あたしたちは分かれた。今日もなんとなくだけど、楽しかったなあ。
「ねぇ、こたろーの好きな人って誰だろう?」
「知らねー(笑)。」
こいつ、絶対知ってるな、って思ってるけれど探すのも案外いいかもしれないからそっとしておいた。最近虎太朗の様子がおかしいとは思っていたけれど……。それは好きな人がいるからだろうか?いや、誰だってそうだ。

「おっ、遅刻組。おつー。」
なつにい―、どんだけ恨んでるの。笑った顔が逆に怖い。あたしたちは今日、まさかの二人して寝坊&遅刻だった。それで、なつにいに助けられた。
「いおねー、れおにー、おかえり!」
可愛すぎる。紗世、冴那。二人は走ってきてあたしとれおに抱きついた。
「お前ら、冬でもそれは暑いわ。」
こんなかわいい妹によくそんなことが言えるな、れおは。もしかして、れおはツンデレか?ううん!そんな!天然のれおに限って―。
「いおー!紗世と冴那と風呂入ってくれるー?」
お母さんだ。お父さんはいつも帰りがおそいからこうやって、なつにいとあたしでサポートしてる。
「はーい。」



お風呂からあがるとご飯が早速用意してあった。
「いただきまーす。」
まず、あたしとれおと紗世と冴那がご飯を食べる。
「わわっ!ハンバーグだぁ!」
紗世と冴那は少食だからいつも10分くらいしたらもう食べない。れおは永遠と言っていいほど食べ続ける。れおの胃袋が知りたい(笑)。
「おい、いおー。俺はアイスが食べたい。今日の電話という借りを返すためにも買って来い。」
「はーい。紗世と冴那も一緒に行く?」
「いくー!!」
なつにいの身体もおかしい。冬なのにめっちゃアイス食べたがるところとか―。いや、それはあたしもか。
「れおは何食べる?」
「あ、俺も行くわー。」
珍しい。いつもテキトーに頼むのに。まあいいや。選ぶならそれでいいし。
「寒いからコート着ていきなさいよ。」
確かにここは宮崎県とはいえ、ここに慣れたあたし達にとっては寒い。
「ほら、紗世、冴那、コート着てきて!」
「はーい。」
そう言えば、紗世と冴那のコートはこの間買ったんだっけ?ダッフルコート。色違いは双子コーデの定番だ。それも一卵性双生児。あたしたちは男女の双子だからそんなことはあまりできない。羨ましい。だからいつも紗世と冴那とあたしでお揃いにする。
「あたしもコート着てくるかられおも何かしら着てきて。んで玄関で待ってて!」
「おう。」

「んじゃ行こー!」
外は暗くて星がたくさん見えた。あたしはれおの隣に並んでその前に紗世と冴那が手を繋いで歩いた。あたしたちが住んでいる家は、住宅街の中だからクラスの子と会うこともある。それが時には憂鬱。そして、今日も宮田妃乃がクラスの子と一緒にいた。
「ねぇねぇ、あれ、れおくんだよ!会えるなんてまじラッキーだわ。」
「あ、私今日、れおくんとぶつかった!」
「えー!よさげ。」
こそこそと聞こえる。こういうのは記憶から消し去った方が早い。
「んっ!」
あたしの兄弟はこんな能力がみんなある。特殊家族だ。
「さんきゅーな。いお。」
「まーねー。」
そして、能力を使うとあたしの場合、れおに伝わる。紗世と冴那もお互いに伝わる。
「ふーっ。さむーい。早く入ろー!」
紗世と冴那は走ってコンビニの中に入った。


「れおはなに食べるの?」
「んー。これぇ(笑)。」
にやけながらハーゲンダッツ(高いヤツ)を手に取る。
「なつにいの金だからねぇ。しかも俺らに買いに行かせてるんだから。」
悪だな。こいつ。という目でれおを見た。
「まあ、なつにいもこれだからいいけど。」
許してしまった……。これはあとから、なつにいからの説教だな。
「紗世と冴那は決まったー?」
「うーん!」
と、同じようなアイスを持ってきた。紗世がレモンの入ったアイスサンドで、冴那がイチゴの入ったアイスサンドだ。
「よし!いいよー。」
そんな感じで買い物をしていたら―。


「おっ!れおー!」
誰だろう?学校の子かな?
「こたろー!」
虎太朗だった。最近めっちゃプライベートで会うなって思った。
「あれ?妹?」
「あっ、こたろーくん!こんばんは!」
「おう!紗世、冴那!」
虎太朗はすっかり紗世と冴那を見分けている。二人も懐いている。
「あっ、いおも来てたんだな。」
「うん。紗世と冴那の付き添いにれおだけ行かせると心配だから。」
「そっか(笑)。」
すると、虎太朗の顔が少し赤くなった。寒いからかな?紗世と冴那も鼻の先が赤くなってる。
「こたろー。お前、顔赤いぞ(笑)。」
「はっ。えっ―――――。」
慌てて、顔を隠す。
「いおねー、早く帰んないとなつにい怒るよー!それにアイス溶けるー。」
冴那がそう言った。
「そうだね!んじゃーねー。こたろー!」
「じゃあなー。」


そしてあたしたちは急いで家に帰った。
「ただいまー。」
「いお、遅い(笑)。」
「えっ!?」
なつにいは細かすぎる。ニートのくせに……。っていう言葉は飲み込んでアイスを出した。
「あたしは明日食べるー。じゃあ先部屋行っとくね~。紗世、冴那。寝る時はあたしの部屋に呼
びに来てー!」
「はーい。」
なにかと夜は疲れる。一般家庭だと、普通、夜はリラックスする時間だと思う。でも、あたしの家は違う。まあ、それも楽しいからいいけど。



――ピロリン。
LINEが来た。誰からだろ?
kotarou
おーい
ama_eo
なにー?
kotarou
俺、今日、好きな人いるって言ったよな?
ama_eo
うん、言ったね笑笑
ama_eo
っていうか誰ー?
kotarou
あぁ、あれ。あれは……
ama_eo
えー?誰?
kotarou
やっぱ、教えらんねーな笑笑。
れおに聞いて。
ama_eo
あ、うん。分かったw
kotarou
聞いたらまたLINEして。
ama_eo
はーい
 誰なんだろう?今からリビング戻って聞くのもいいけど、なつにいとかお母さんとかいるからLINEで聞いてみようかな。確か、れおも知ってるって言ってたような言ってなかったような……。

ama_eo
れおー!
ama_reo
あいよ?
ama_eo
こたろーにこたろーの好きな人は
れおに聞けって言われたんだけど?
ama_reo
あぁ、あれね!いいよ。心の準備はいい?
ama_eo
いや、準備もなにも。別に大丈夫だけど?
ama_reo
えとー。いおだよ?
ama_eo
え?は?ふざけてるんだったらやめて?笑笑
ama_reo
ほんとだって!!
ama_reo
既読無視かよ!
照れてんのか。笑笑
 嘘でしょ!?いやいや、落ち着け雨名伊音。どうしよう。いまから虎太朗にLINEは気まずいな……。
「あー!もー!!」
一人でジタバタしていたら、
―ピロリン
まさかの虎太朗からLINE。
「タイミングー!!」
kotarou
れおに聞いたでしょ?
ama_eo
あ、うん、まあ。
でもあれって冗談だよね?
kotarou
嘘じゃない。れおは誰って言ってた?
ama_eo
あ、えとー。
いおだよ?って言ってた……
ama_eo
勘違いだよね?違うよね?
ほんとは誰?
kotarou
嘘じゃないよ。
俺はいおが好きだよ。
#3 レモンとイチゴの甘酸っぱいサンド
END

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