なんとなく今日も全ての授業が終わった。
山口うるさいなぁ
授業で使った黒板も消さないといけないし
冷たく返した。
悲しそうな顔するな…
黒板消すのチョークの粉つくし嫌いなんだよネ…
はぁ、制服にもかかったし最悪。
ウエットティッシュが教卓の上に置いてあった。
しょうがない、これで拭くか。
そんなことをしていると授業が終わってから10分もたっていた。
部活はあなたちゃんに会えるからやっていけてる。
もちろん本人には「あなたちゃん」なんて呼べない。
後ろのドアの鍵をかけて廊下へ出た。
3組の教室をチラッと見たらあなたちゃんがいた。
ぼーっとしている
しかも一人で。
僕は恐る恐る教室に入った。
だけど気づいてないらしい。
だれのことか分からないけどいきなりあなたちゃんの口が動いた。
僕は思わず言ってしまった。
「うぎゃ、えあ」ってなに?可愛いすぎデショ
綺麗な瞳で見つめられた
そんな瞳で見ないでよ…
ほんとの理由はあなたちゃんが一人だったから。
でもそんなこと言えない
そこからのあなたちゃんの質問に対しては適当に答えといた。
考えすぎると「好き」ってことがバレそうだから。
僕はサラッと言ってみた、精一杯の勇気を出して。
あなたちゃんは一瞬固まった。
嫌だっただろうか。
僕のこと嫌いなんだろうか。
いろいろマイナスな考えが頭をよぎった。
そう言ってみた。
これで、「嫌。」って言われたら不登校になるだろう。
あなたちゃんの口が動いた。
少し早口にだった。
顔も赤い。
可愛かった。ただその一言に尽きた。
行くまでに何を話そうか。
それしか今は頭にない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!