第3話

出会い
2,825
2017/11/12 09:30
あなた

ん…。んん!!!!

泥棒
お嬢ちゃん。抵抗しても無駄。ちょっと静かにね〜。
私は、身の危険を感じたので、必死に、暴れた。
そうすると、手が口から離された。
あなた

ハァハァ…。
やめて下さい!
家、母子家庭で、お母さんが必死に働いてるんです!泥棒なんて、出ていってください!

泥棒
へぇ〜。そ〜なんだ。俺も母子家庭。
同じ母子家庭の人と、今まで出会ったことなかったから、少しだけ嬉しかった。でも、この人は、泥棒!!!!早く…早く追い出さなきゃ!
あなた

出ていってください!
お願いします…(泣)

私は、いつの間にか泣いてしまっていた。
お母さんが必死に働いているお金をとられてしまうと思うと、自然に流れてきた。頬をつたって、涙がこぼれ落ちる。
泥棒
え…。泣かせちゃった?
ごめんね〜。わかった。お金はとらない。でも、少しだけ、おじさんとお話してくれない?
泥棒は、おもったより優しかった。私の切り裂かれた心に上手く漬け込んでくるような…。そんな喋り方だった。初めて泥棒の顔を見たけど、凄く整った顔立ちだった。
あなた

ど、どうしてですか?

泥棒
え?なんか、話してみたいなーって。
あなた

は、はい…。

泥棒
あなた…。
あなた

え!?どどど、どうして私の名前を知ってるんですか!?

泥棒
ここに書いてあるじゃん。あなたって。
私の部屋のドアにつりさげている、あなたという名前の札を見て、どうやらわかったようだった。あ〜びっくりした。
あなた

えっと…。泥棒さんの名前は?

おじさん
え、名前?おじさんでいいよ。おじさんで。おじさんって呼べ。
あなた

は、はい…。じゃあ、おじさん、相談して、いいですか?

何でだろう。いじめのことは、誰にも話すつもりは無かったのに、おじさんにはいじめの相談までしていた。
おじさん
それは…最低な奴らだな!
よーし。俺があなたの辛い気持ちを全部受け止めてやる。それとも、そのいじめっ子達をこらしめてやろうか?
あなた

分かりました。でも、こらしめるなんてやめて下さい。私、頑張ります。いじめなんかに負けないです!

おじさん
よし。偉いな〜。あなたは。
後、タメ口でいいよ。
あなた

え、あ、うん。///
なんか、おじさんと居ると、安心するな…。

おじさん
そ、そうか?本当に、いつでも相談しろよ。
あなた

おじさん、これからお母さんが来るまで、うちに来ていいよ。今日、入ったみたいに。でも、泥棒は、ダメだよ〜。警察呼ぶから。

おじさん
わかってるよ。おじさん相談室だな…(笑)じゃ、またな。
おじさんが帰って、1時間後にお母さんが帰ってきた。お母さんに隠し事なんてするのは初めてで、凄くそわそわしたけど、明日もおじさんに会えるのは、嬉しかった。生きる希望を見つけたような気がした。

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