『あのね、将来、私と結婚して?』
「え?」
『ははっビックリしてるww』
「なんや!」
『嘘だよ、嘘!』
「なんやねん!」
でも俺は気づいてたよ?
彼女の顔は嘘を言っているような顔じゃなかった。
あの日から10年、もう社会人になった俺はあの日から彼女のことが忘れられなかった。
そんなある日、一人の女性が店に来た。
『すみません、あの、元気の出る花ください、』
と寂しそうな顔をしながら俺に頼んできた。
「失礼ですが何かありましたか?」
『あ、ちょっと彼とケンカしてしまって…』
「ちょっと待っててください。」
俺はある花を彼女に渡した。
「こちらをどうぞ♪」
『この花は…?』
「アマドコロです、この花言葉は"元気を出して"という意味があります、これで元気を出してください!」
『あ、ありがとうございます。これ、お願いします!』
「ありがとうございます!!」
そして彼女は笑顔で帰っていった。
そう、俺は花言葉が大好きなんだ。
花で人を元気にさせられる、そんな幸せなことがあるだろうか、俺はみんなを元気にしてあげたい、心を癒してあげたい、だから花屋になった。
もちろんいつかはあの子にも花をあげられたらなと思ってる。
でも、そんな夢は叶わない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。