第9話

#3 揺れるココロ
9,089
2017/11/23 09:51


「…体、大丈夫?」

「あ…うん」


夢のような時間が終わってしまえば、自分の晒していた醜態が恥ずかしくなり、シャツのボタンを閉めてくれている男から目を逸らした。


「あの…さ」


今日も彼は私を快楽へ導くだけで、私には何も求めることは無かった。

何度もこうしているのに、“その先”に進めないというのは、もしかしたら私に魅力がないからなのかもしれない。



「…私って、魅力…ないかな」

「そんなことないと思うけど」

「なら どうして…」



“続きをしてくれないの?”

…なんて、言えるはずがない。


恋人でもないし、ましてや彼は先生だ。


危険を孕んだこの関係が いつまでも続くとは到底思えない。



「やっぱり…何でもない」



それでも彼との行為をやめられないのは。

侑介の前では、本当の自分でいられて。
侑介には、ありのままの姿を見せられるからなのだろう。


この時から少しずつ、私は彼に心を奪われ始めていた。


…自分でも気がつかないうちに。



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