第16話

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2017/12/15 10:04


晴樹からのメッセージがきていることに気がついたのは昼休憩の時だった。


ロック画面に映る“あなたって彼氏とかいるの?”の文字に 握っていた箸を落としてしまいそうになる。


「どうしたの?」


目の前でパンを頬張っている理沙は 不思議そうにこちらを見つめてくる。


「…ううん。何でもない」


ここ数日はずっと彼と連絡を取り合っていた。
まるで会えないでいた時間を埋めるかのように。


「もしかして好きな人でもできた?」

「ちが…そんなんじゃないよ」


確かに晴樹のことは好きだ。
でも そういう対象ではない…はずだ。


「あなた。…いつでも相談乗るからね」


どこか嬉しそうな彼女にポンっと肩を叩かれ、私は小さくため息をつく。

また面倒なことになりそうだなと思っていると、今度は頭に重みを感じた。


「随分楽しそうだね」

「あ、西條先生!」


恐る恐る声のする方を見上げると そこには一番話を聞かれたくない人の姿があった。


「先生、あなたが好きな人できたんだって」

「ちょっと…理沙。そんなんじゃないって…」

「へぇ…。好きな人、ね」


意味有り気な男の言葉に、動揺が隠せない。


「…あれ、どこ行くの?」

「トイレ」


心臓が妙にうるさい。

先生に何を聞かれようと 関係ないはずなのに。


これじゃまるで…彼のことが“好き”みたいじゃないか。




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