第17話

#5 すれ違う想い
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2017/12/15 10:03

トイレに行くと言って向かったのは、あの日侑介と過ごした資料室だった。

鍵は壊れていて もはや意味を成しておらず、その部屋は簡単に私の侵入を許した。


「…はぁ」


溜息と共に、私は力なくその場にしゃがみ込む。

もちろん、理沙を恨む気持ちはない。
彼女がそういう性格であることは 良く知っているし、悪気があったわけではないはずだ。

しかし、結果として先生と顔を合わせにくくなってしまったことも事実だった。


侑介に対して特別な感情がなければきっと、何を聞かれようと平気なのだろう。

でも、あの時確かに私は“焦り”を感じた。
彼だけには 知られたくなかった。




『好きな人ができたらすぐに言えよ?…そしたら、終わりにするから』


私は以前 侑介に言われたことを思い出し、血の気が引いていくような感覚に襲われた。


この関係を終わらせたくない理由は、ただ一つ。







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