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第34話

3,489
2018/08/11 14:48



ここ最近、元気がなかったことを知っていたからこそ、俺は電話越しの声に安堵を覚える。

相談に乗りたいとも思っていたし、元気づけたいとも思っていた。

まぁ、どうやらそれは必要なかったらしい。


「...で、何かあった?」

「あぁ...ここ最近元気なかったからさ、何かあったかなと思って」

「...ありがと。さすが、何でもお見通しなんだね」

「俺で良ければ話聞くけど...話せる内容だったら今頃誰かに相談してるか」

「...うん。ごめん」

「じゃあさ、気晴らしにどこか遊びに行かない?」

「え...でも、部活とかで忙しくないの?」

「平気平気。最近大会も終わったからさ、俺もちょっと息抜きしたいんだよね」


電話越しに聞こえてくる笑い声に、彼女の笑顔を見たいと思ってしまう。

デートなんて、そんな大したものじゃない。

それでも、少しだけでも俺のことを意識して欲しかった。
“男”としての俺を、見て欲しかった。



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