その声で重たい瞼が開く。
目を開くと、さっきと同じ位置に旭飛がいる。
あ、そーいえば、
私の告白どうなった?!
まさかのスルー?
いや、それはないよね?
えっと、一応・・・言う?
ゆっくりと顔を上げ私を見つめる旭飛の顔がかっこよすぎて言葉が詰まった。
言いたいのに、言えない。
何を言いたいのかさえ、分からなくなった。
旭飛が心配そうに私の顔を覗く。
その表情に私の心は、揺れ続ける。
ふられたら、もうこんな近くてこの人の顔を見ることが出来ない。
一緒に帰られない。
一緒にいられない。
そうなるくらいなら私は、
弱い私は、
告白を諦めてしまうのだ。
はにかんだ笑顔でごまかす。
彼は腑に落ちないとういうような顔だったけど、詮索はしてこなかった。
バタン───
扉が閉まり、部屋に1人になると、私は布団の中に潜り込んだ。
告白を断念したこと、
旭飛の顔をしっかりと見れなかったこと
後悔することなんて多過ぎで・・・
コンコン──
あれ?なんであの人がベランダの窓の外に?
こんな時にも、刺客はやってくる。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。