梅雨は過ぎ去り、シーズンはいよいよピークを迎えた。
今週末は県の記録会。
そして来週末は、いよいよ市総体だ。
市総体は県総体への通過点だが、第三南中学校には市の総合優勝3連覇が懸かっている。
そして早くも、1年生から3年生、顧問、陸上部全員がピリピリした雰囲気になっていた。
夏は朝でも暑い。
朝練に行くだけでも汗が噴き出てくる。
「女子総合とれるかなあ」
校門を通り過ぎたところで、花香が呟いた。
「とりたいね、打倒第二南!」
第二南中学校は、長年のライバル校であった。
長距離が強く、駅伝ではもう何年も全国大会に出場している。
「ポイント稼がなきゃだね」
「うん、だね〜」
校庭に向かい、キャプテンの指示で朝練が始まった。
汗が気持ち悪いほど練習着に染み込む。
そして、朝練を終え、シーブリーズを片手に部室前に座っていた。
部室の中から、同級生の杉谷 澪莉(スギタニ ミオリ)の声がした。
「あなた、今何時ー?」
器具庫の壁に設置されているデジタル時計には、07:55と表示されている。
それを伝えようとした時、その下にいる結先輩に目が止まった。
練習着をパタパタさせている、時折、シックスパックにわれた腹筋がチラつく。
なんだか見てはいけないものを見てしまったうな気分になり、顔が火照ってしまっな。
「あなたー?」
部室から澪莉の声がした。
私は立ち上がって、部室の中に入り、澪莉に時間をつげた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。