ここの中学校は、1階に昇降口、相談室、保健室、コンテナ室があり、2階に3年階、3階に2年階、そして4階に1年階がある。
昇降口のある管理棟には、校長室、職員室、図書室、被服室、調理室、美術室、第1、第2理科室、第1、第2音楽室、PCルーム、それに加え、特別支援学級が置かれている。
2年階には、6クラスに加え1年8組、多目的ルームと授業準備室がある。
1年8組は、1年階でクラスが足りなくて、2年階に作られた。
連絡通路を通ってすぐの階段を登ると、1年8組、2年6組、2年5組 … というふうに並んでいる。
後輩2人が「お疲れ様でした」と行って後輩2人は1年階へ向かっていった。
私と花香は吸い込まれるように2年5組に入る。
「おー、朝から頑張ってんね」
隣の席の須田 夕希(スダ ユウキ)だ。
顔面偏差値はかなり高い。
上の上。
運動神経抜群で、頭脳は学年でトップを争えるくらい、低い。
「須田みたいにサボってないからねえ」
須田も一応陸上部だが、自分の足が速いとかで余裕ぶっこいてほとんど練習には来ない。
それなのに大会だけは必ず来て、100mで優勝して帰っていく。
「いや、俺、秘密の特訓してるんで」
その秘密の特訓は、本当にしてる …… のかな?
「ふうん …… 」
「おい、もっと興味もてよ!!」
須田の得意な蹴りが入りかける。
「うおおお、ごめんごめん!」
「へへっ」
ニカーっと笑うとたれ目になって八重歯が覗く。
これには男女問わず誰でも落ちるらしいが、私は全く魅力を感じなかった。
まだまだ全然、結先輩のほうが …… 上だ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。