ゆーくん、私を守ろうとしてくれてありがとう。
ゆーくんのおかげで、私は、擦り傷と足首の骨折しかしなかった。
だけどゆーくんは …… 、解離性健忘になり、腕と足の骨折。
私のせいで、ごめんなさい。
ゆーくん、ゆーくん、本当にごめんね。
「あなた泣かないで」
優しい猫撫で声で、私の頭を撫でる。
「俺は大丈夫。あなたの笑顔が見れてよかったよ」
ゆーくん!
一生懸命叫ぼうとしても、声が出ない。
ゆーくんは遠ざかって行く。
「さようなら、あなた」
そう言い残して、ゆーくんの姿は完全に見えなくなった。
……………
ハッとして、起き上がった。
なんだ、夢か。
なんで今こんな夢を見たんだろう。
その日は、なぜか気持ちよく過ごすことができた。
ゆーくんに会えたからかな?
なんて、思ったりもした。
そんなわけないか、ははっ。
朝練、授業、放課後練を終え、帰宅する。
「ただいま〜 …… ん?」
玄関に見慣れない赤いハイヒールが綺麗に揃えられていた。
お客さん …… かな?
リビングに入ると、そこにいたのは ………
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!