「ええ!?32階!?」
おじいちゃんが社長だったとは言っても、そんなに上に住んでるとは思ってなかった。
「なんだよ。」
「いやぁ、その、上だなぁって思って。」
「あぁ、まーな。じいちゃんがここのオーナーと仲よかったから安くしてくれてんだ。」
「はぁ、なるほど。」
顔が広いおじいちゃんですね…。
エレベーターに乗っている時、ふと思った。
「ねぇ、やっぱり、直樹さんでもいい?」
「別になんでもいい。」
「じゃあ、直樹さんね。」
なんか、やっぱり年上だし、直樹だと気軽に呼べない気がした。
32階に着いて、直樹さんが部屋の鍵を開ける。
「うわぁ〜!」
「広い!しかも綺麗!!!」
広々としたリビング。そしてシンプルな家具。
なんと言ってもこの大きな窓から見える夜景!!
私は窓にへばりつく。
「綺麗…。」
しばらく見ていると、後ろから声をかけられる。
「酒飲むか?」
「飲む!!」
振り返るとテーブルの上に並べてあった。
何にしようかなぁ〜。と選ぶ。
「んー、じゃあ、まずは梅酒!」
プシュ
缶を開けて飲んでみる。
「あ!普通に美味しい。」
私は梅が好きだったから本当にジュースみたいに飲めた。
「よかったな。でも少しにしとけよ?」
「はーい。」
でも、その後もゴクゴクと飲んでいって…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!