ー青木先生目線ー
「あの子、お気に入りみたいだねぇ。」
「は?そんなんじゃねーよ。」
「んじゃあ、どんなんなの?」
「俺の生徒なだけだ。」
「ふーん。」
こんな直樹、初めて見た。
あの子といる時と、俺といる時とは全然違う。
何がって言われたらよくわからない。
けど、何かが違うのは確かだ。
「なんだ?何か気になるなら言えよ。」
「うーん、あの子とはどう言う関係なの?」
「言わないと言ったはずだ。」
「えー、教えてくれたって良いじゃん。」
「はぁ、気になるならあいつに聞け。」
「ふーん。じゃあ、今度あの子に聞くとするよ。」
俺は立ち上がる。
「あんまり余計な事はするなよ。」
「はーい。またね。」
俺は、準備室からでて職員室へ向かった。
「なんだか面白くなりそうだ。」
なんとなく呟いた声が廊下に響いていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!