第20話

Chapter 20
6,753
2017/11/25 04:15
「ただいまー」

誰もいなくてもとりあえず言う。

「はぁ、」

静かな家。

今日も誰もいない。

先生はでかいなって言うけど、広すぎて寂しいよ。


あ…。

“うわぁ、広ーい!”

なんて、先生の部屋で言ったなぁ。

先生も寂しいのかな…?

どうなのかな…?


そう考えながら制服から私服へ着替える。

するとスマホが鳴った。

「もしもし」

お母さんかな?

『俺だ。』

「…。え!先生!?」

『あぁ、そうだ。』

「え、え??どうしたの?」

私は先生からの電話が嬉しすぎて声が弾む。

『いや、その、大和が何かしら聞いてくるかもしれないが、あんまり気にするな』

「はぁ。よくわかんないけど、わかった。」

『それだけだ。じゃあ…』

切ろうとする先生にすかさず、

「あ!待って!」

と言った。

『なんだ?』

「えーっと…。」


“先生と一緒にいたい。”


なんて言ったらダメかなぁ。

先生といると楽しいし、心が軽くなる気がする。

でも…

先生に迷惑はかけられない。

そうだよ。

しかも、“先生”なんだよ?

何言ってんの自分。



「ごめんね、何でもないよ。」

『そうか…。なんかあったら電話しろ。』

「うん、ありがと。またね。」

私は電話を切り、しばらくスマホを見つめていた。

「はぁ、」

こんなにガッカリするなら言っとけよ!

と自分に言う。

でも、でも、でも…。

「あー!もう!」

ベッドに倒れこむ。

「やだなぁ。」

私は枕に顔を埋めながら呟いた。

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