「あーあ、バレちゃったのか。」
声がする方へ振り向く。
そこには、黒い帽子を深く被り、マスクをしている、黒ずくめの男が立っていた。
うそ…。
「ちょっと外で音がしたから出てきて見れば…。この家の人?」
いえ、違います。と言いたいところだけど、全部聞かれているだろう。
「何?黙ってちゃわからないよ。まぁ、バレたけど…」
「ついでに犯しちゃおうかな。」
…え?
この人何言ってるの?
男の人は私に近づいてくる。
「こ、来ないで。」
私は震える足で後ろに下がる。
「だ、誰か…」
と、声を出した時、すぐに口を塞がれた。
そして、後ろの木に背中がぶつかる。
もう逃げ場がない。
「大声出したら…」
すると男はポケットの中からナイフを取り出した。
「わかるよな?」
私は何も考えられなかった。
ただ、ただ、怖い…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。