「ん…」
私はベッドからゆっくり起き上がる。
もうお昼かな…?
窓からたくさんの光が降り注いでいる。
ベッドのそばに置いてある体温計をとって、脇に挟む。
ピピピッピピピッ
37,8度…。
「上がってんじゃん…。」
朝よりも頭が痛い。
とりあえず、今は寝るしかないか…。
私はスポーツドリンクを飲んで、布団の中に潜り込んだ。
そのまま私は、起きては寝て、水分を取り、お腹が空いたらなにかを食べる。
と言う事を繰り返した。
そして、夜。
私のスマホが鳴る。
「…もしもし…」
『俺だ。』
「あ、先生。」
『つか、お前大丈夫か?なんかさっきより悪くなってね?』
少ししか喋ってないのに見抜いてくるなんてすごい。
「うん…なんか熱が下がらなくて…。」
『そうか。あ、なんか食べたいものあるか?』
「…フルーツゼリー食べたい。」
『わかった。今から行く。』
「うん、ありがとう。」
“今から行く”その言葉だけでなんだか楽になった気がした。
先生に会える。
それだけで私は嬉しい。
こんなに好きになるなんて思っても見なかった。
でも…。
でも、これから先、私はどうするんだろう。
先生に想いを伝える?
それとも隠しながら先生と接していくの?
「…好き。」
そう。これだけは何があっても変わらない…。
ポロっと出た言葉だけど、心の底からそう思った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。