「お帰りなさいませ!ご主人様っ!」
うわぁ、恥ずかしい…。
私は若干顔を赤くしながら言う。
「お席へご案内しま〜す!こちらへどうぞ〜」
このままのテンションで一日持つかなぁ…。
すると、入り口で『キャ〜ッ』と黄色い歓声をあげる人がいた。
「お帰りなさいませ。お嬢様。こちらへどうぞ。」
ちょっと低めの声で、冷静に言うのは先生。
はぁー、もう女の子達の目がハートになってるよ…。
まぁ、先生のお陰で行列が出来てるようなものだけど…
「あの、注文いいですか?」
後ろから声をかけられる。
「はい!どうぞ!」
え…??
「青木…」
シーッと人差し指を唇に当てられた。
青木先生?
なんでここに…?
黒いサングラスをして、いつもとは違う雰囲気だけど、なんとなくわかった。
「この、オムライスを一つください。」
メニューを指差しながら言う。
「か、かしこまりました、ご主人様っ!」
そう言い、私は青木先生に小声で聞いた。
「青木先生、ここにいて大丈夫なんですか?クラスは?」
「大丈夫ー、大丈夫!なんとかなるでしょ!」
適当だなぁ、、
「と言うか、あなたちゃん。メイド服似合ってるよ!あとで一緒に写真撮ろ〜?」
「あ、ありがとうございます。でも、そう言うのはお断りしてるので、、」
「ちぇー、つまんないなぁ。じゃあ、オムライスのお絵かきはあなたちゃんが書いてね。」
ウィンクをしながら言う。
えっ…。
まだ、始まったばかりだから、やった事ないのに…。
そう思いながらも、
「分かりました。じゃあ、作ってきますね。」
と言い、私は青木先生から離れた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。