「萌え萌えキュンキュン美味しくなぁーれ!どうぞ!」
今日、何回目だろう…。
こんなにHPが減ることはない…。
「わぁー!可愛い!」
他校の女子3人組がキャー、キャー、している。
私は、裏に戻る。
「はぁ。」
カーテンを閉める。
「あなたもかなり疲れてるみたいだな。」
えっ?
後ろから声がした。
「先生…じゃなくて、直樹さん…お疲れ様です。」
「おう」
…やっぱり、気まずい。
文化祭が始まる前に話したけど、スッキリしない。
何を話せばいいかわからない。
いっそのこと…
いっそのこと私をめちゃくちゃに傷つけて欲しい。
そしたらきっと、先生の事、嫌いになれるのに…。
「なぁ、さっき話してたことだけど。」
「さっきって?」
「文化祭始まる前だよ。」
先生はそう言いながら、椅子から立ち上がる。
「あぁ、どうしたの?」
「あれ、“なんで私にここまでしてくれるの?”ってやつさ、」
「うん、」
「もし、俺がグランプリとったら答えてやる。」
そう言い残して先生は戻っていった。
え…?
どう言うこと?
ただ単に私が先生の生徒だったからじゃないの?
私の頭の中は色々な考えが駆け巡る。
先生…早く教えて。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!