第95話

文化祭11 ー2日目ー END
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2018/01/13 10:01
「あっ、あなた。この次花火らしいよ??」


ステージにいる司会の人がお知らせとして言っていた。


「おぉ、じゃあ…行ってこようかなぁ」


とは言うものの、正直、何をすればいいのかもわからないし、ただ見ればいいのはわかるんだけど…


って言うか、想いを伝え合ってから1日しか経ってないんだよ!?


それに、今日一日、今までの先生と変わらないし!!


「頑張ってこいっ!!」


色々な考えを巡らせていると、千紗が元気よく言ってくれた。


「よし、行ってくる!」


ここで色々考えてもしょうがない。


私は、準備室へ向かった。






コンコン


「失礼しまーす。」


私はドアを開けて準備室を除く。



「あれ?居ない…」



いつも座って、パソコンに向かっているのに…


「まぁ、いっか。」


私は、中に入り、いつもの椅子に座って待つことにした。







「…来ない!」


私は机に突っ伏した。


5分経っても来ない…


さっき、『あと15分ほどで花火が上がりまーす!』と司会の人が言っていた。


「って事はあと10分…」


私は、立ち上がり、窓を開ける。


爽やかな風が私の体を吹き抜ける。


うーっ!と伸びをした。


ここは、校庭に面している。


野外ステージは、中庭に設置されているため、ここからでは見えない。


「あっ…」


そう言うことか。


ここは四階。


それに、校庭に面しているから綺麗に花火が見える。


先生が外を見てたのはこう言う事だったのかと納得した。




ガチャ


ドアが開いた。


「悪い、遅くなった。」


勢いよく振り返ると、先生が若干息を切らして立っていた。


良かった。


「本当だよ〜。来ないかと思った。」


先生はそのまま私の隣にくる。


「何してたの??」


「内緒。」


「え〜。つまんないなぁ。」


「あとで教えてやるから。」


「後でなら今でも良くない?」


「良くない。」


「ちぇー。」



そんな話をしていると、放送が入った。


『もうすぐで花火が打ち上がりますっ!皆さんお楽しみに〜!』


「おっ、楽しみだね!あ、そういえば、文化祭楽しかった??」


「まぁな。みんなが頑張ってる姿を近くで見られたから良かったけど。」


「けど?」


「疲れた。俺も歳だな。」


「えー、まだ25じゃん。」


「17歳のお前らにはわかんねーよ。」



そういったとき、


ドーンッ!


と花火が上がった。


「うわぁ、綺麗…!」


色とりどりの花火が夜空を舞っている。


大きな丸い花火もあれば、キラキラと光る花火、線を描くような花火など、様々な花火だった。


花火が上がっている時は、何も話さず、2人とも花火を見ていた。


文化祭であった事を一つ一つ思い出して行く。




まず、先生が執事姿でカッコよかったぁ。


実は、隠し撮りしたんだよね〜!!!


本当は2人きりで撮りたかったんだけど…


でも、これでいつでもカッコいい先生をみることができる。


あとは、美男美女グランプリで2位だった事。


それから、なんといっても…!!


先生が好きって言ってくれたこと!!


本当に嬉しかったぁ。


うふふっ、天に昇るような気持ちだよ〜


ドドドドーンッ!!!


最後に大きな花火が上がった。


「おぉ。」


私は、思わず拍手をした。


続いて、先生も拍手をする。


「すごかった!綺麗だったね!!」


私はテンションが上がり、キャッキャと騒ぐ。


「良かったな。」


先生は、ふっと笑い私の頭を撫でてくれた。


うわあああああああ。









「ねぇ、先生。ぎゅーしていい?」








もう、気持ちが高まってるどうにかなりそう…








「いいよ、おいで。」







先生は、手を広げてくれた。





私は先生の胸に飛び込む。



ぎゅうっと抱きしめた。



そして、先生も抱きしめてくれる。



あー、幸せ。



好きになってから、こんなことが出来るなんて思いもしなかった。


だって相手は先生だよ?


私は、今の幸せを噛みしめるように抱きしめる。




すると、先生は手を緩めた。



「こっち向いて。」




そう言われ、先生を見上げる。




「んっ」




キスをされた。




すると、





「少し、口開けて。」





と、耳元で囁かれた。





「えっ?」





再び先生の唇が触れる。







「んっ、ぁ」














深く、深く、あなたに溺れていく…














その横を、風が吹き抜け、カーテンが舞い上がる。













私は、この瞬間を忘れまいと心に深く刻んだ。

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