松木聡太side
─1年後─
聡太「行こうよ~渋谷~」
俺は、家の受話器で電話をしている。
携帯が無いからね…。
聡太「もう、行こう行こう言って
あっという間に1年過ぎちゃったじゃないか~!
なぁ、ワタ~俺らもう中2だぜ?」
ワタル《うん、お母さんに聞いてみる》
聡太「そう言うことじゃなくて~!」
ワタに言おうとしたら…
母「聡太~洗濯物。ここに置いとくね~」
聡太「何だよ、もー…入るときノックしろつったじゃん」
母「新しいパンツ買っといたから。3枚組!」
聡太「買うなよ~!」
母「新学期とか始まったら身体測定とか色々あるじゃないのよ~」
俺をバシッと叩きながら言う。
叩く必要性…
聡太「いいよ、そんなの気にしなくて。
てか、勝手に入ってくんなよ、出てけよ」
母「んな、もー」
俺はお母さんを無理矢理部屋から追い出した。
扉をドンと閉めると、お母さんが買ってきたパンツを見る。
手に取ると、よくアニメで見る白い典型的なパンツで…
聡太「マジ、こういうの辞めてほしいんだけど」
すると、ピカッと何かを思い付いた。
手に持っていた受話器を耳に当て…
聡太「もしもし?行こうぜ渋谷!パンツ買いに…」
ワタル《下着はお母さんが買ってきてくれるから…》
聡太「んも、だからそう言うことじゃなくてさぁ~!」
なかなか話が進まず、電話を切ることにした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!