第28話

背中
62
2017/11/26 07:40
俺は必死に奏音を探した。
……あいつはいつも、何かある度にあそこに行く。
心を落ち着かせるために。

俺は3階に階段を登ろうとしたが、
すぐ方向を変え、2階にある図書室に向かった。

「奏音!!」

いるかどうかも分からないのに俺は、奏音の名前を叫んだ。

「っ……」

やっぱり…いた。
泣きながら俺の方を見る。
早く……謝らないと…。

「奏音…さっきは…」
「"謝らなくていい。全部私が悪い"」
「何言ってっ_」
「"だって私…今まで何も変えようとしてこなかった。"」
「……」
「"みんなが優しいから、このままでもいいんだって思ってたんだと思う"」

そんなの…当たり前だろ…

「"だから私、ちゃんと変わるね"」
「いや…けどっ…」
「"けどすぐには変われないの"」

奏音は俺が言おうとした事を分かっていたかのように、
紙に書かれた文字を見せてきた。

「"だから、ごめん。地域PRは…出ないね。"」
「………本当にそれがお前の答えか?」
「"うん"」

奏音は真っ直ぐ俺を見てくれていた。
この言葉は…本気だ。

「……分かったよ。けど、さっきは本当にごめんな。」
「"大丈夫だよ"(ニコッ」

すぐ笑ってくれた。
俺はその笑顔に…何度救われたのだろうか。

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