あれは中学校の僕らの卒業式の日だった。
この日が終われば僕たちは一人一人違う道を歩みだす。
僕は別にそんなに親しい友達もいなかったし、好きな子っていっても"君"がいたけど僕と釣り合う訳がない。
だから、もう誰とも関わらない。そう思っていた。本当は違うだなんてその時は少しも思っていなかったのだ。
そんなとき、"君"に話があるって呼び出されたのであった。
君「私ね。あと少しで死んじゃうんだ膵臓がんで、寿命はあと1年くらいだろうってお医者さんに言われちゃった。」
"君"の性格的に嘘は言わないとわかっていた。
だけど意味がわからないのである。
何でわざわざ僕なんかに言ってきたのか。
何でそんなに笑っていられるのか。
僕「何で僕に言ってるの?」
君「それは...秘密♡
それよりこんなことしてるうちに私の人生減っ
ちゃうよ~
とにかくこれからも宜しくね?私の病気知ってる
の君くらいだし、同じ高校なんだから!」
君は僕に何も言わせぬまま走り去っていった。
こうして僕と君の秘密の関係が始まったのだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。