第6話

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2017/11/24 12:56
この数日間、初めての夜のこと、どんな人が相手なのかを想像して寝れなかった。

水揚げとは遊女にとって、一大儀式。

水揚げを嫌がるものなら遊郭から追い出さ、今後一切立ち入ることを禁止される。



正直怖くてたまらなかった。


そんな時、沖田さんの優しいことば。


『無理しなくていい』


たまらず涙が出そうになる。


「ありがとう……ございます。このご恩は……」


「かたいね。気にしないでって言ってるのに」



水揚げの日に、水揚げしないなんて、とんでもないこと。

なのに、とうの沖田さんはと言うと、



「はぁ、なんか気が抜けちゃったねぇ。とりあえず時間潰さないといけないからさぁ、飲み直そうよ」



なんてことを笑って言う。




「飲み直し……ですか」


「うん、そう」


「……あはは。いいですね」


だから、わたしも笑ってしまった。先ほどまでの緊張はどこへ行ったのやら。


わたしは、杯を持つと、沖田さんの隣に座った。

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