第7話

7
10,119
2017/11/25 01:37


「あ、きみも飲むつもり?」


「あたりまえです。まだまだ夜は長いですから」


「いいね、きみ。気に入った」


わたしたちは、夜が更けても飲んで、おしゃべりをした。

沖田さんは、ほんとうに無邪気で面白い人だった。

こんな人が、人を斬るなんて想像もできない。

ニコニコして、子どもみたいなのに。



夜が明けたころ、沖田さんは腰を上げた。


「また、来るね」


それだけ言い残すと部屋を出て行った。


ーー

ーーー


翌日、女将から褒められた。

「あんた、よくやったね。沖田様から聞いたよ。すごくよかったって言ってくださったよ」

「ぁ、ありがとうございます」

ホッとした。

沖田さんは水揚げが滞りなく済んだ、と女将にちゃんと言ってくれたようだ。

昨日、ただ飲んで話しただけだった。

ほんとうは何もされていない。

触れることも、口づけも何もなかった。

プリ小説オーディオドラマ