「沖田さん……ひどいです。いくら適当に誤魔化すって言っても……わたし、大変だったんですから……っ」
「あははは、だって普通じゃ面白くないじゃない」
「面白くなくていいです……女将やお姉様からなんて言われたか……わたし、恥ずかしくて……」
「いいじゃない。床上手って言葉、最高の褒め言葉でしょ? まぁ、実際は何もしてないけどさ。とにかく誤魔化せたんだから、感謝してよね」
「沖田さん~…」
沖田さんは、ケラケラと笑った。ひょうひょうとした態度に、なにも言えなくなってしまったのは、言うまでもないーー
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遊郭にて。
「こんばんは」
「沖田さんっ、今日も来てくださったんですね」
「うん」
「すごく……嬉しいです」
「ほんと? よかった」
いつもの笑顔、いつもの優しい口調。
わたしは彼に癒されていく。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。