第12話

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2017/11/27 12:58
沖田さんはいつも会いにきてくれる。


けれど、それだけ。



触れてこようとはしない。


それは、沖田さんの優しさ。




沖田さんは、優しい。

沖田さんは、いい人だ。

沖田さんはーー



数刻後ーー

「そろそろ帰ろうかな」

お酒をちょうど飲み干したころ、沖田さんが切り出した。

「ぁ、もうこんな時間ですね」

わたしも、杯に残っていたお酒を口に含む。

「今日も楽しかったね。ありがとう」

「わたしもです。沖田さんと過ごす時間はやけに早く感じます」

「そう言ってもらえると嬉しいな。また来るよ」

沖田さんが立ち上がる。

背を向けて障子に手をかける。

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