第13話

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2017/11/27 22:57
「ーー沖田さん」

「え」

戸惑った沖田さんの声。

わたしは、無意識に沖田さんの服を掴んでいた。

「どうしたの?」

「沖田さん……わたし……」

「うん」

「わたし……あの……」



べつになにも変えなくてよかった。

このままでよかった。



触れようとはしない沖田さん。

その優しさが痛いほど伝わっていた。

いつも冗談めいて、わたしを笑わせる。



そんな沖田さんが大好きだった。

だから、このままでも十分だった。




会いにきてくれて、お酒を飲んで楽しく話せる関係。

それだけで、満足だった、


ーーはずだった。





それなのに……。



「わたし……えっと……っ」


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