沖田さんとは触れ合いたい。
けれど、それはわたしの浅はかな思いだったかもしれない。
実際は、そんな簡単なことじゃないとしたら?
沖田さんの真剣な目は、どこか闇を帯びていた。
その目の奥にある闇に触れ、指先がカタカタと震えた。
「お、きた、さ……あの、や」
やっぱり無理かもです、と言おうとした。
けれど、叶わなかった。
「だめ、もう無理」
沖田さんが、わたしに口づけをする。
「ン……ま、っ……て、……ッ」
息つぎすらも、与えてもらえない。
「お、……きた、さ」
スルスルと外されていく帯。
抵抗しようにも、手を押さえつけられかなわない。
沖田さんは、わたしの口を封じるように舌を絡ませてくる。
その間にも、止め紐が解かれていく。
「まっ、て……おね、……が…ぃ」
沖田さんはやめない。
それでも、必死でお願いした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。