わたしの手を押さえつけたまま、着物を脱がしていく。
沖田さんの力はすごく強くて、抵抗しようにも全然かなわなかった。
されるがままだった。
「っ、……ァ…」
肌がゆっくりと露わになっていく。
最後の一枚を残したところで、沖田さんが動きを止めた。
わたしを見下ろす。
「へぇ、きみって着やせするんだ」
「ッ……」
「でも、細いわりに胸は大きいね」
「……っ」
「抵抗しても無駄。まぁ、興奮するからいいけど」
沖田さんが首に顔を埋める。
「ァ……ッ」
チクリとする痛みに、身体を反らした。
「ン……ッ」
チクリチクリ。
首すじや鎖骨あたりを吸われるたびに、言い知れぬ感覚が襲ってくる。
「ごめんね。こんなに跡つけちゃった」
その言葉に視線を落とす。肩や胸もと、いたるところが小さく内出血していた。
「これじゃ、ほかの客相手にできないね」
そして、顔を埋めるとまたチクリと痛みが走る。
女将から指導されたことがある。
『絶対に跡を付けさせないこと。じゃないと商品が台無しだからね』
商品=自分
遊女は、たくさんのお客と相手する仕事。
だから、身体に痕跡を残してはならないのだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!