開けておいたはずのドアがしまった。
「あー、この前のエロい子じゃん。こんなとこでどうしたの?俺とヤりたい?笑」
そこに立っていたのは、佐野先輩。
「委員会の仕事です。それだけです。」
キツめの口調で話す。
やだ、できるだけ佐野先輩と関わりたくない。
見つけた資料を持って、部屋から出ようとした。
「そんな怖い顔しないでよ、ね?」
佐野先輩は私を部屋から出そうとしない。
「用があるんで、」
そう言ったのに、佐野先輩は近づいてくる。
近っ…!
「この前さ、俺らがヤッてるとこ見てたよね?」
嘘…、気づかれてた!?
「気づいてないとでも思った?」
なっ…
「そんなの、ヤッてる方が悪いんじゃないですか!?鍵もかかっていなかったし、私だって見たくもな…亅
チュッ…
唇に柔らかいものがあたった。
キス…!?
佐野先輩にキスされた。口を塞ぐようなキス。
「ちょっ、いきなりなにするんですか!?」
「ごちゃごちゃうるせぇんだよ。」
「なっ…」
また口を塞がれた。
「…ちょっと!」
「あ?ちょっとなんだよ?」
あー、もうこの人やだ、無理無理!!
…ガラガラガラ
「アキ?…と橋本さん!?」
そこに現れたのは、松田先輩だった。
「レイか。なんだよ。」
「…なんもしてないよね…?」
「なんもしてねぇよ。キス以外は。」
…それってなんもしてない事になるの…?
「は?してんじゃん!…橋本さん大丈夫?」
「あ…大丈夫です、これ職員室に届けて来ますね…。」
そう言って、資料室を出た。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!