とある休みの日。
今日は一人で買い物に来ていた。
洋服とメイク道具と、あと雪乃の誕プレを買いに。
一人で買い物するのは好きだ。
誰かを待たせることもなく、気楽にのんびり買い物できる。
いい買い物できて満足!よし、帰ろう。
そう思って駅に向う途中だった。
あれ?もしかして佐野先輩!?
こんなところで何してんだろう。
てか、こんなとこ来るんだね。笑
「うぇーん!っ…風船がっ…木にひっかかっちゃったー!」
小さい女の子が泣いている。
持っていた風船が木にひっかかっちゃったみたい。
一緒にいたお母さんは小柄でとどきそうにもない。
すると、その方に佐野先輩が近づいていった。
ちょっ、小さい女の子が怖がっちゃうじゃない!
先輩何してんの!?
と思ったら、佐野先輩は木から風船をひょいととって女の子に渡した。
「はい、気をつけるんだよ。」
「お兄ちゃん、ありがとう!」
「…ありがとうございます!」
女の子とお母さんは先輩にお礼をした。
「いえ、お役に立ててよかったです。」
なんだ、意外といい人じゃない。
私の胸が高鳴った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!